詩、詞、画...諸々

神様になった理由(long version)【4】

4.紆余曲折

 

数日後、村長は、生き字引、話の理解が出来る若い衆、数名を連れて、モノノケ達の家に行きました。

モノノケ達は、丁寧に対応しますが、腹わたは煮えくり返っています。
「何の御用ですか?」
「貴方達に、これまでの非礼を詫びる為に参りました。」
「ほう、ならば誠意を見せて頂こうか?」
口先だけだろうと言わんばかりです。その空気を察し、生き字引が前に出て、口を開きました。
「それを分かって頂きたく、一緒に来て欲しい所があります。」


生き字引を先頭に、ある場所に向かいました。

それは、立派な神社でした。生き字引が、話の理解が出来る若い衆に造らせた、神社です。
さすがのモノノケ達も、想像もしなかったので、呆気にとられました。


すぐに、気を取り直し、尋ねました。
「誰もいない様だが、一体これは誰のための、神社ですか?」
「もちろん、貴方達のためです。ここで、嫌な思いをさせることのない、心豊かな暮らしを保障します。」
「随分な、これですね。で?望みは、何ですか?」
掌を返す仕草をしました。
「貧乏、疫病、死を鎮めて頂きたい。」
「ここまでされれば、礼として、応えなくてはならない。分かりました。飲みましょう。」

 

こうして、モノノケ達は人間と条約を結び、神様になり、平和に暮らしました。


世間では、嫌な事もたまにありますが、上手い事暮らして行きたいですね。

 

神様になった理由(long version)【3】

3.緊急会議

 

村人達は緊急会議を開きました。
情報収集、現状把握、の末、
原因をあーだ、こーだと、突き止めると、モノノケ達の仕業だと気付きました。

 

そして、モノノケ達の家に怒鳴り込もうという事になりました。
「お前が行けよ。」
「いや、お前こそ行けよ。」
「何で、俺が?」
我先にと叫ぶ者はいても、実行に移す人は一切いません。むしろ、堂々巡りです。

 

ダチョウ倶楽部の様には、なりません。
「じゃあ、俺が行くよ。」
「どうぞ、どうぞ」
と言う、具合には。

 

他にも、出る事は出ましたが、ケンケンガクガクとして、パッとした意見が出ません。
正座で足はガクガクになりましたが。

 

「えぇい!黙るがよろしい‼」
途端に、ざわついていた場が凍りつきました。いつも、温厚な方生き字引の老人が声を張り上げたからです。


そして、一つ、ため息を吐き、続けました。

「確かに、我等にとって、貧乏、疫病、死は、関わりたくないモノだ。
だからと言って邪険にしてはならない。
君達もいくら嫌いな相手からでも、嫌がらせやイジメはされたくないだろう?」
「それでは、どうしろと言うんですか⁉」
「簡単な事だ。優しくすれば良い。神様としてお祀りする。」

その途端、血相を変えて、非難の嵐が起こりました。
「何故、そこまでしないといけないんだ⁉他に案はないのか⁉」
生き字引は即座に返します。
「ならば、君達の素晴らしい案を聞こうか?」
村の若い衆は、ぐうの音も出ず座り込んでしまいました。
おられます。文句だけを叫ぶ方々が。

こうして、モノノケ達を神様として祀る事が決定しました。

 

 

神様になった理由(long version)【2】

2.厄災襲来

 

いよいよ決行の日が来ました。それは、新月の夜でした。


モノノケ達は精進潔斎をし、肉類を食べず、酒を飲まずに心と体を清め、深く息をしました。
そして、前を見据え、呪文を唱えました。

 


すると、不穏な生温かい風が吹いたかと思うと、

 

「諭吉ちゃんが、鳥になるー‼」
景気が落ち。

 

「とっつぁん、お粥ができたよ。」
「いつも、すまないねぇ。げほげほ。」
「それは、言わない約束だよ。」
シャボン玉ホリデー提供、懐かしいです。
分からない方は、60歳前後の方に聞こうね。
病気が蔓延。

 

「ちーん、なーむー。」
亡くなる方が、多数出ました。

 

 

神様になった理由(long version)【1】

1.三大厄災

 

今は昔、ある所に、マンガ日本昔話に出て来る、絵に描いた様な村がありました。
田んぼ、畑、茅葺きの屋根には、大根やら、干し柿やらが、吊るしてあります。
そんな村の外れに、みすぼらしい小さな家がありました。

 

住んでいる人は、3人。
彼等は、三者三様に、とても腕の良い職人ですが、
ある身の上により村人から煙たがられていました。
似たような境遇なので、3人は身を寄せ合って暮らしていました。

 


ある日、3人は、福の神の神社に供えられていた御神酒を盗んで、
酒盛りをしようと言い出しました。
同じような、神の神通力を与えられながら、福の神は、神社に祀られ、有り難がられていたからです。
もともと、アマテラスの人員配置によるクジ引きで決められた、テキトーなものなのに、良い目をしている。
よって、少々、盗んでも問題ない。
との考えでした。

その酒盛りで、良い気分になる筈でしたが、ついに、誰からともなく、愚痴をこぼし出しました。
「ったくよぉ〜。人間の野郎共そんなに嫌わなくても、いいじゃねぇかよぉ〜。」

 

そう、彼等は、何を隠そう人間が嫌いなモノTOP3、
貧乏、疫病、死を司るモノノケ達だったのです。
貧乏は金なし、疫病は病気で元気なし、死は全てがオジャンですからね。
もちろん、嫌われたくて嫌われている訳では、ありません。
クジ引きで選ばれている訳ですからね。

 

ですから、これまで、出来るだけ喜ばれようと、


貧乏は、いつも着ているみすぼらしい服を、如何に小綺麗に見せるかの知恵を活かした、お針子に、


疫病は、人間を病気にさせる能力を逆手にとって、病気のエキスパートとして、医者に、


死は、魂の緒を刈る鎌を常に研いでいるので、包丁や鍬、鋤などの、刀の研ぎ師として、


暮らそうとしました。

 

 

実際に、
お針子としての貧乏は、ほつれもなく、綺麗で、素晴らしい裁縫を、雑にする事なく、
医者としての疫病は、患者の容態を診れば、すぐに、病名、どんな薬を処方すればいいか分かり、
刀の研ぎ師としての死は。どんなにボロボロになった刃物でも、見違えるような光沢と切れ味を出すのでした。
すねずに頑張っていました。

 

 

しかし、村の人間は色眼鏡で物を見ました。

彼等の腕がいくら良くても、災いが降りかかる事を、怖れ、嫌がり、近付こうともしません。
挙げ句の果てに、出会えば、塩やら、石やら、投げつける始末です。

ですから、泣きじゃくり出しました。
泣き過ぎて、ワガママな子供のようにキレてしまいました。
そして、モノノケ達は一念発起、人間に仕返しする事にしました。

 

神様になった理由(long version)【序】

序.

 

あー、ありがたや、ありがたや。日本は、八百万の神様が、おられます。
しかし、中には、なんで、こいつらが神様やねん!という方々も、おられます。
アレとアレ、そしてアレも、ですね。
でも、「アレ」だと神様に失礼なので、三柱(みはしら)、
すなわち、神様を、ひとはしら、ふたはしら、みはしら…と呼ばせて頂きます。
その三柱が三柱たる由縁、それを語らせて頂きます。

「君」が「君」を判る

「語る」を理解している人間はいるのか?
そもそも、「語る」とは何か?
「吾」が「言う」と書く
そこに自ら意見がなければならない
ただ言いたいだけの報告文になっていないか?

それでは誰も話は聞かない


君が語りたい事は何?
君が語りたい理由は何?
それが判った時、初めて語れる
そして「君」が「君」を判る

 


「伝える」を理解している人はいるのか?
そもそも、「伝える」とは何か?
「人」が「云う」と書く
そこに届ける思いがなければならない
ただの流れるだけの録音機になっていないか?

それでは話を聞いて流すよ


君が伝えたい事は何?
君が伝えたい理由は何?
それが判った時、初めて伝える
そして「君」が「君」を判る

 


空気ではなく心を震わせる動きがある
荷物ではなく針で量れない重みがある

 

それが判った時、初めて「君」が判る

芥子壺のTwitter: https://twitter.com/mad_logic_009