詩、詞、画...諸々

少女達と織り物(一 出会い)

彼が、まだ少年でいた頃、この辺りは国境いで、二つの国がありました。
どちらの国が何という名で、どちらが何という名の王が治めているなど、少年には、どうでもいい話でありました。

幼い少年は、友達と遊ぶ毎日が楽しいだけでした。
「ごはんよ。帰ってきなさい。」
「ちょっと待って、お母さん。まだ遊び足りないんだ。」
少年は、ビー玉、童謡、かけっこ、などに夢中でした。学校から帰って来ては、カバンを放りだして、友達と遊んでばかりでした。

 

ある日のことです。
森の近くに、二人の少女を見かけました。一人は黒く、もう一人は金色の、長い髪をなびかせた少女で、白いシフォンのドレスを着た、水が透き通る様な美しさでした。よく見ると、同い年ぐらいでした。この辺りでは見ない顔です。新しく越して来たのかと思い、声を掛けました。
「やあ、はじめまして。最近、越して来たの?」
すると、黒い髪の少女が、キッと睨みつけたかと思うと、急に微笑み出します。
「どうして、私達じゃない人がいるの?家に帰りなさい。」
「そうよ、私、怖い。」
金色の髪の少女は、なぜか怯えています。

少年は異質な空気を感じました。
二人の目には周りが全て敵であるかのようでした。それは飽くまで例えです。
多くの人は、久しぶりに会う友、新しい友、恋などを求め、いろいろな人に声をかけますが、二人の少女だけは、完全に別の世界に住んでしまっているのです。

 

人というモノは、社会で生まれて、社会で育ち、社会で死んでいきます。それを繰り返していくうちに、「人間は社会生活を営んでいる」と少年は考えていました。
しかし、二人の少女の目に映るものは、お互いの姿のみでした。まるで、社会を拒んでいるかのようでした。そして、少年は二人の少女に気圧され、帰る事にして走り去りました。

 

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