詩、詞、画...諸々

少女達と織り物(六 二人の少女のノート)

ノートを開くと最初のページには「わたしのもの」から始まり、「愛するもの」への終生変わらぬ想いが書かれてありました。「愛するもの」は、その慈愛の言葉に応えていました。「わたしのもの」は黒髪の少女から金髪の少女、「愛するもの」は金髪の少女から黒髪の少女、の事とすぐ判りました。


そして、木漏れ日での読書、花摘み、童謡、かけっこ、語らい。二人の少女だけの不可侵領域が、そこにありました。読み進めると、少年の事が綴られてあります。少年は目を見張りました。

 

「よその物がきてから全てが変わった。よその物が私達を興味本位で観察する。そんなに社会に属さない私達が珍しいのか。その物が知らぬ、別のよその物が来た。妃になって、象徴として暮らせと言う。
断っても何が不満なのかと、判らない怒りを露わにした。果てには、森を失くすと言う。私達は、とりあえず、妃になる旨を承諾した。」

 

最後に次の事が綴られ終わりました。
「わたしのものから愛するものへ、愛するものが応える、最後の贈り物を捧げます。」

 

二人の少女にとって、少年は破滅の始まりだったのです。少年は、悔やみますが、どう仕様もありませんでした。
せめて、二人の最後に残そうとしたモノを守ろうと穴を掘ります。墓を作りました。墓標はありません。

 

いいえ、森そのものを墓標にしたのです。ノートも埋めました。


そして、夜が開ける前になんとか帰りました。

芥子壺のTwitter: https://twitter.com/mad_logic_009