詩、詞、画...諸々

とある会社の事件簿

*「とある業界の事件簿」大幅修正版です。

 

唐突ながら、疫病神会社にキャバクラが出来ました。

本当に突然です。

順を追って説明すると、疫病神は恨みを買います。

しかも、疫病を取り扱うので、キツイ、汚い、危険な商売で、

あまり成り手がいません。

 

だから、新規の従業員が欲しい。

欲を言えば、体力がある若い男手やって来い!

ならば、カワイイ子で釣ろう!

ついでに、副業で儲けよう!

と言う事で、社員割引もつけて、キャバクラを開いたのでした。

 

 

見込みは的中、会社に「可愛い過ぎる疫病神」が誕生し、

全てのメディアで注目を集めました。

疫病神会社の景気は、飛ぶ鳥を落とす勢いでウハウハになりました。

 

そんな中キャバ嬢に入れあげている変な客がいます。

とある神様会社の人が客になっていました。

死神です。

 

 

彼は、一切、モテ期というモノが、ありませんでした。

会話が下手で、融通が利かない仕事ぶりで

見た目も、社交辞令で褒められる程度でした

 

 

ですから、嘘でもイイからモテたいと、

給料を貯めてキャバクラに行く事にしました。

 

彼は、女の子と話した経験がないので、

まずは、「女の子」「接し方」とググります。

 

レディーファースト、自慢話をしない、聞き上手が出ました。

レディーファーストは優しいおもてなし、

自慢話はできる程ないから大丈夫、

聞き上手はいつも相槌打っているから得意、

と勘違いの思い込みに陥ります。

 

「いざ鎌倉」いや、「いざキャバクラ」

 

 

ドキドキして扉を開けたら、夢の国です。

「いらっしゃいませ♡」と、かわいい子達が声をかけてくれます。

 

会話のノリが良く、やたら褒めてくれたかと思うと、小バカにしたり、

ツンと澄ましているのかと思いきや、「キャー♡素敵」と笑顔を見せ、

「ほんとですかぁ?」肩のあたりに手をしばらく当てて、

上目づかいで男心をくすぐるのです。

それだけで、彼は舞い上がりました。

 

何人かとしゃべる中、気になる女の子が出来ました。

彼女は、さして美人ではありませんが、

話を聞くと、苦労人で応援したくなりました。

 

幼い頃、両親が離婚して、

親戚の家に預けられ、肩身のせまい思いをしていた事。

 

学校では、こんな私で良いの?という考えから友達が作れなかった事。

 

それで、挙動不審になり、イジられるようになった事。

 

それが苦痛になり、保健室登校になった事。

 

それでも、仕事ぐらいは就かないと、という思いから、

授業料が安く、就職しやすい専門学校へ行き、疫病神になった事。

 

就職して上司から、

「手当ても付くし、綺麗な服も着られる。悪い話じゃないから。」

とキャバクラに配属された事。

 

を切ない目で語るのでした。

「だから平凡な幸せが欲しいの」

とも。

「大変だね。僕、応援するよ。」

死神は慰めます。

よくある話なのにネ!

 

トドメのセリフは、

「あなただけが生きがいなの。お願い、お願い捨てないで。」

クレイジーキャッツの歌)

てなこと言われて、その気になって3日とあけずにキャバクラへ。

速攻で給料の全てを貢ぐことになりました。

 

彼女はNo.1になりました。

キツい、汚い、危険、な本職より

割のいいキャバ嬢職に必死になりました。

 

 

ちなみに、給料と言えばお金ですが、お金は神様の世界には、ありません。

それに値するのが、人間の魂です。

人間は神様にお祈りします。

その信仰深い魂が価値が高いとされ、

価値が高い魂をたくさん持っていると、人間でいう「金持ち」になるのです。

 

話は戻り、彼は、「もっと、彼女と、おしゃべりしたい!」

と、日に日に気持ちが強まります。

ついに、犯罪に手を染め、魂を横領したのです。

 

あー、どっかで聞いたことある話。

 

 

手口は、次の通りです。

彼は、死神会社の死神課、課長をしていました。

死神達が刈ってきた魂の質や量を、総務部に申告する仕事です。

まず、死神課が刈ってきた魂を、粗悪品として処理します。

次に、総務部に、

「粗悪品で販売できないから、輪廻転生会社にキャンセルをお願いして下さい。」

と申告します。

ちなみに、輪廻転生会社は、その名の通り人間を生まれ変わらせる会社です。

そして、粗悪品倉庫に一時保管、横流しの末、彼女に貢いだのでした。

 

 

 

その内、「少しだけなら」が「これぐらいでもイケる」になり、

見境いがなくなりました。

しばらくして、「数字がおかしい」と言う話に。

もちろん、「粗悪品処理があまりにも多すぎる」とクレームが来たからです。

 

監査が入る事になりました。

 

すぐに彼は、しょっぴかれ、彼女に貢いでいたことが明るみになりました。

2人一緒に、裁判にかけられました。


 

彼は罪を認めましたが、彼女は、

「あたし、知らないわ。ただ上得意のお客様だっただけよ。」

の一点張りで、

貢いでもらった魂を元手に稼いで建てた豪邸で、悠々自適な生活を送り、

関係無い顔をしていました。

まあ、こんなモノです。

 

そんなこんなで、神様会社は、ワチャワチャになりました。

 

まさしく、ダムの決壊です。ほんの出来心がねぇ。

♪やだねったら、やだね。

氷川きよしの歌)

 

自分がしている仕事は、「自分だけの仕事」ではないのです。

世間を巡っているのです。

その仕事を何の為にして、次にどう繋げるかを考えた仕事をしましょう。

 

芥子壺のTwitter: https://twitter.com/mad_logic_009