詩、詞、画...諸々

若三つ(わかみっつ)第二話「何処へ」

優しさにも要らぬ優しさがあります。
私は、外の生活というモノを知りません。
私は、この地で生まれました。
と言っても、思い出は片手に余るほどですが。
それでも、幸せだったのでしょう。
幼い頃、
野原を駆け回り、花摘み、お手玉、子守歌を聞き、
わらべ歌を歌っていました。

秋風は、始まりを思い出させます。
十歳になったばかりでした。
その年は、米があまり穫れず、
ひもじい思いをしていました。
そんな時、お金持ちそうな妙齢の男性が、
やって来て、何やら両親と話し込んでいました。

ある日、強い口調で両親に告げました。
「決まったな。」
くるりと私の方に向き近づき、
そばにいた若い衆に
「こいつは、若三つだ。」と言いました。
意味が判らず呆然としていると、連れ出されました。
両親は唯々泣いていました。

男性の馬車の中で、
何処へ向かうのか不安になっていると、
大きな屋敷に着きました。
それは、立派な門構えで、
しかも、たくさんの下男、下女がいて、
ただのお金持ちではない印象、威圧感を
子供心に与えました。

「今日から此処がお前の新しい家だ。」
「!?」
男性は、この家の主人でした。
更に困惑し、言葉が出て来ませんでした。
それでも、事は進んで行きます。
屋敷の中の奥の奥へ進み、
意外な所に、たどり着きました。

湯殿でした。

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